カトルス
和名 | 英名 |
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ベンケイソウ科 | Crassulaceae |
エケベリア属 | Echeveria |
カトルス | catorce |
カトルスのデータベース
葉のうねりと鋭い爪が特徴のカトルス。リアルデカトルス(E. sp. Real de Catorce)の方が親しみのある呼称でしょうか。近年、ショップでもその実生苗や交配苗をよく見かけるようになりました。本種およびその交配種が普及著しい一方で、実は種として未だ認定されていないようで、ICNの表記では”(仮称)カトルス(E.catorce(provisional name))となっています。生物学的な位置づけや種(や亜種)としての認定、呼称などについては今後の研究の進展を見守るとして、TOMOZOOではひとまずこの種を”カトルス”と呼ぶことにします。
カトルスの大まかな特徴としては、”うねりと爪”なわけですが、個体間でその出方が大きく異なっているというのも特徴の一つ。うねりの大きいもの、血しぶきのような激しい紅葉をするもの、のっぺりと緑色のもの、などなど、とにかく個性豊かでとても面白いです。外見の迫力とは対照的に、成長しても比較的小ぶりで。実生一年ほどで花芽が続々上がってきます。
夏の暑さに少々弱い印象がありますが、風通しの良い日陰で管理すれば十分夏越しできる育てやすい種。無事夏を越して春を向かえると、(個体によりますが)大きくうねった葉と天を突くように真上を向いた爪に血しぶきのような赤い模様がつき、何とも言えぬ毒々しさ。この姿を見てファンになる人も多いのではないでしょうか。
フォルム
育成ポイント
増やしやすさ
※「仔株」の項目は、胴切りや頂芽潰しをしない状態(自然状態)での仔株の出やすさを表しています。
TOMOZOOカトルス1号の育成記録
カトルス(1号)は2020年2月12日に播種した実生株で、TOMOZOOが初めて実生に挑んだTOMOZOO実生第一世代の一株です。
『実生経過報告No.5』でもご紹介したあのカトルスです。
実生の技術の問題なのか、種子の当たりはずれの問題なのか、わかりませんが、生き残ったのはこの一株のみ。
小指の爪ほどの小さな株ですが、着実に成長しています。早くも赤い爪。カトルスの特徴が出てきました。
植えているのは2号のスリット鉢ですが、これがなかなか乾きやすく、成長度合いは芳しくない様子。
冬の休眠期ということもあって、株の成長よりも下葉の枯れ込みが早い!せっかく大きくなってきたのに。実生の小苗は本当に目が離せない。
長らく、実生腰水時代のスリット鉢で育ててきましたが、春の植え替えでは水持ちのよいビニールポットに植え付けました。ちゃんと真ん中にきて、いよいよ本格的におひとり様。
冬の間にすっかり痩せてしまったカトルス(1号)ですが、植え替えが功を奏したのか、ぷっくりと膨らんで新葉も展開してきました。
春の成長期、忙しすぎたのかしっかりと記録写真を撮影しておらず、気が付けばすでに夏。この株にとって最初の夏です。一気にどーんと大きくなってしまいました。やっぱり実生株は勢いがありますねー。
カトルスの葉は、しっかりと張った肩(葉っぱのエッジ)が特徴的だと思うんですが、この株はそれほど主張していない感じもします。それとも生長するにしたがって現れる特徴なんでしょうか。
夏の入り口まで、何とか色と形を保っていたカトルス(1号)ですが、8月半ばを過ぎると完全な夏顔。「もう暑さでヘトヘト」といった印象です。
暑い暑い夏が過ぎ、秋の短い成長期。
カトルス本来の特徴が復活してきました。
上の写真と比べると、ずいぶん変化が見られますね。
生長点付近の新葉は、しっかりと肩が張っています。
年を越して1月。大分株が締まってきました。
伸びきっていた下葉は枯れて、ずいぶんと形が整ってきましたね。
葉先の方から色が抜けて、いかにも寒そうな真冬のカトルス。
うっすらと血しぶきのような模様も見えてきました。
ここまで、ビニールポットで育成してきましたが、そろそろビニールポットでの生育も卒業。
スリットのあるプラスチック鉢を使った育成に切り替えます。
植え替え後の生長は順調なようです。カトルス独特の紅葉が現れ始めました。
あっ!花芽だ!播種から1年と少し。花芽を出すまでに成長しました。
カトルス交配はぜひとも作ってみたい!
残念ながら、花芽の写真を撮影せずに過ごしてしまったこの年の花芽シーズン。
同時期に開花するシャビアナペレグリナとの交配に成功しました。
この時できたカトルス(1号)×シャビアナペレグリナ、その逆交配、そのうち記事にしたいと思います。
そして季節は廻り、、、再び春(記録不精です。すみません。)。冬の寒さも難なくこなし、生長期。
ちょうど一年前の写真と比べると、ずいぶん青々としています。
環境に慣れてきたということでしょうか。
発色も、一年前に比べるとよりはっきりとしています。
いい色が出てきました。成長期を迎えて葉の張りも出てきています。
6月。実生1年目では長く伸びてしまっていた葉、この年は持ちこたえてくれています。
お!もう出ないかと思っていたのに、花芽!
22年は4月の上旬だった花芽の出現、この年は2か月押しの6月上旬。これから暑くなるけど、大丈夫かな?
花芽が出てきてから約1か月。ひょろっと細長い花茎をのばして開花寸前。
ようやく、花が咲きました。もう7月。株本体は少し形が崩れてしまいました。
種子ができたら涼しいところで休んでもらいたいですね。
カトルスの花、かなり小ぶりのオレンジ色の花が咲きました。
花茎は細くて短め(ほかに花茎の長い個体もあるので、カトルス共通の特徴とは言えないと思いますが)。花びらの開きは小さく、放っておいたら簡単に自家受粉してしまいそう。
TOMOZOOが2020年に初めて挑戦した実生。
このとき播いたカトルスの中で唯一生き残ったのがカトルス(1号)。思い入れのある一株です。
第2次、第3次と、その後何度もカトルスの実生に挑戦していますが、ダメにしてしまう株もたくさん。
きっと1号は、日本の気候にも耐えられる遺伝子を持った優秀な株なんだと思います。
交配親としてはもう2年目のベテラン株。今後もいろいろな顔を見せてくれることでしょう!