チワワエンシスジェコラ
和名 | 英名 |
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ベンケイソウ科 | Crassulaceae |
エケベリア属 | Echeveria |
チワワエンシスジェコラ | chihuahuaensis Yecora |
チワワエンシスジェコラのデータベース
チワワエンシスは、エケベリアの中でも1、2位を争うほど人気の原種。大きな特徴は幅広で厚みのある葉と、しっかりとした爪。紅葉シーズンには爪とその周辺の広い範囲が濃い赤色に色づいた可愛らしい姿を見せてくれます。育てやすく増やしやすいという特徴も兼ね備えたチワワエンシス。日本の環境にもよく適応して、たくさん花芽をつけてくれるためか、交配親としても非常に人気が高いエケベリアです。
エケベリアを代表するようなそのフォルムで多くの多肉愛好家にとってなじみ深いものとなっているチワワエンシスですが、実はいくつかのタイプがあります。「(単に)チワワエンシス」、「ジェコラ」、「旧タイプ」、「ルビーブラッシュ」、「スペシャルレッド」、、、と様々な名前が付加され、それぞれの特徴は示されるものの、まとまった写真記録が少なく、さらに近年では桃太郎などの交配種との混同も指摘されているため、全容を把握し辛くなっている印象があります。
TOMOZOOではなるべくたくさんの”チワワエンシス”を育成して、その特徴を整理していこうと考えています。
今回ご紹介するチワワエンシス6号は「チワワエンシスジェコラ」という名前で購入した一株。正真正銘のチワワエンシスです。若干発色は控えめですが、勢いのよい一株。成長の様子をご覧ください。
フォルム
育成ポイント
増やしやすさ
※「仔株」の項目は、胴切りや頂芽潰しをしない状態(自然状態)での仔株の出やすさを表しています。
TOMOZOOチワワエンシス6号の育成記録
チワワエンシス6号がTOMOZOOへやってきたのは、2022年の11月のこと。”ジェコラ”を付記したチワワエンシスが流通し始めて間もない頃だったと思います。
単に”チワワエンシス”とだけ表記したものの中には、”桃太郎”やそれに似た交配種が混同している可能性があるといわれていますが、この”ジェコラ”についてはそうした疑いなしに原種扱いできる品種という認識があります。
桃太郎よりも白い肌、控えめな爪先の染まり方、エッジが四角く広がる葉、、、なるほどこれが原種のチワワエンシスの姿なのか。
紅葉真っただ中の2月、ジェコラの紅葉もはっきりとしてきました。
爪先はしっかりと濃く、そこから葉の中ほどにかけてほんのりとした色です。
他のエケベリアと比べて早い時期から花芽が顔を出しています。1、2、3本も。
成長点付近の若い葉はシュッと細長いなで肩。葉の成熟度によって形が変化していくんですね。
冬の寒さが和らいでいく3月、細長く伸びていた葉にも、徐々に四角いエッジが出てきました。厚みも出てきたかな。花芽の頭も早くも大きくなり、ここからズドンと勢いよく伸びていきそうな雰囲気です。
ひとつ上の写真から2週間弱ですが、光の方向に葉が動き出し、花芽がぐいぐいと伸びているのが分かります。紅葉も少し冷めてきました。
勢いよく出てきた花芽、もっと高く高く伸びていくのかと思いきや、案外短いです。
つぼみも色づいているので、ここで花茎の伸びはストップ。「チワワエンシスの花茎は短い」といわれますが、なるほどこういうことなんですね。
花芽だけではなく、本体の方も着実に成長しています。2月のころに比べると、ぐっと青みを増してきた葉。
光のエネルギーを存分に吸い込んで、光合成を行っているのが分かります。
年末頃から顔を出していた花が、ようやく咲き始めました。ここまで4か月弱、長かったですね。
疲労を与えすぎないように、花茎は1本を残してカットしています。
花は赤みが強く、やや細長い形をしています。
バリバリの成長期。花を咲かせたことによって弱ってしまうのではないか、というこちらの心配などそっちのけで暴れまくってます。
交配した花も頑張って種子をつくっているようです。
この時挑戦したのは、”×沙羅姫牡丹”と、自家受粉かな。
徐々に強くなる5月の日差しに負けずに成長を続ける6号。
こうしてみると改めて、桃太郎ともコロラータとも違う独特の姿。
夏の6号。すっかり葉っぱが開ききっていますが、赤い爪先は健在。
水を切っているため葉が痩せて見えます。
真夏の姿。確かにややバテ気味には見えますが、成長点付近はしっかりとしています。
日本の環境で、とくに2023年の酷暑で、これだけ踏ん張ってくれるタフな原種はチワワエンシスぐらいじゃないかなと思います。
夏も終わりに近づく8月の末ごろ、秋の成長シーズンを待たずに子株が出ているのを発見。この生命力に脱帽。
秋の短い成長期。夏に痩せ切っていた姿とは一変。再び元気を取り戻して葉数を増やしています。
ちょっと水やりすぎたかな?葉っぱが開いています。
親株に押しつぶされそうになりながらも、頑張って顔を出している子株。
11月の末には花芽も登場。他のエケベリアと比較しても、かなり早いタイミング。
少し時間が空きますが、年を越して2月。再びの紅葉シーズンですが、一年前よりも大きくなっている分見ごたえがあります。花芽も大きいのが2本、しっかりと控えています。
子株も若干紅葉中。この子株、あまり大きくなりませんね。花芽にエネルギー使いすぎているのかな。
暴れだす花芽。いよいよ開花に向けてラストスパートといった雰囲気です。
2023年に比べてずいぶんと立派な花芽になりました。たくさん花を咲かせても安心して見ていられます。
本体も大きく成長してきたので、花茎一本、満開にしたくらいではびくともしない様子。
夏にも強く、毎年しっかりと花芽を上げて交配に協力してくれるチワワエンシス6号。
信頼できる親株として大切に育てていきたいと思います。