みなさん、エケベリアの交配、やってますか??TOMOZOOも交配をはじめて2シーズンが過ぎました。少しずつ交配の成功率も上がって、、、と始めたかったのですが、全然成功率が上がってこないんです。めしべに花粉をつけて、受粉、結実を待って”タネのようなもの”を採って、よっしゃーって蒔いたはいいものの、待てど暮らせど発芽せず。。。水浸しの土が放置されたまま夏を迎えて、、、
同じような悩みを抱えている方も多いんじゃないでしょうか?
そこでTOMOZOOは今回、種子の品質に注目してみることにしました。
「種子の品質に注目」なんて言うと大層な話に聞こえますが、要するに発芽した種子としなかった種子をそれぞれよく観察しよてみようと言うことです!
深い考察は今後に回すとして、今回はデータベース的に写真を並べてざっくりと見ていこうと思います!
では、早速発芽見ていきましょう!出た種子、を一通り見たあと、出なかった種子を見ていきますよ!
※出たか出なかったかは、播種してから約3週間の時点でのものです!本当は待っていれば出るのかもしれませんが、雑菌の繁殖しやすい時期に播種したものなので、いつまでも置いておくわけにもいかないと思い、発芽していないものは途中で切り上げています!
※交配式の前に記載しているNo.〇〇はTOMOZOO交配の通し番号です。数字が飛び飛びになって少し気持ち悪いですが、識別用と思ってご覧ください。
※親株の名前の後にくる〇〇号は、TOMOZOOでの個体管理用につけている番号で、品種名とは関係がありません。
出た種子
No.4 チワワエンシス16号(ジェコラ)×ピンウィール
種子は比較的小さく、淡褐色(ヘーゼルナッツのような色、榛(はしばみ)色)こうして見ると弱々しい種子に見えますが、これでも発芽しました。
発芽数はとっても少なく播種後19日の段階で確認できたのは2つ。上記写真と同量の種子をまいたので、発芽率は非常に低いです。1%もいかないかもしれません。
両親はどちらも人気の原種。チワワエンシスのような色づきの良い爪が密に出てくる、そんな株を期待してます!
No.10 チワワエンシス16号(ジェコラ)×リアルデカトルス1号
こちらもわずかですが発芽。種子の感じはNo.4の”チワワエンシス16号(ジェコラ)×ピンウィール”とよく似ています。ところでこのカトルス1号の花粉、実は昨シーズンのもの。冷凍庫で一年、ちゃんと保存できていたみたいですね。
カトルスの1号はTOMOZOOで種子から育てた若い株で、とても発色の良い個体です。チワワエンシスが明るい色合いなのに対して対象的な深い色。どんな色の個体になるのかとても楽しみです。
No.14 (レッドエボニー×ザラゴーサ)×チワワエンシス16号
殻のようなものが多く見られますね。一方で色の濃い、いかにも中身が入っていそうな種子もちらほら。発芽数(5)を見る限りでは、色の濃い方の種子が発芽しているようです。
レッドエボニー×ザラゴーサは、全体がじんわりと赤く色づく品種。ザラゴーサ交配ながら、爪がポチッと控えめなのが可愛いのですが、チワワエンシスと交配することで爪が強調される個体が生まれるかもしれません!
No.15 (レッドエボニー×ザラゴーサ)×リアルデカトルス1号
今回、レッドエボニー×ザラゴーサの交配は成功率が高いです!といっても発芽数は少ないのですが。種子はNo.14のレッドエボニー×ザラゴーサ交配に比べてふっくら。でもあんまり出ませんでしたね。
カトルス1号の色の濃さにレッドエボニーの赤が入る少し暗い色のエケベリアになりそうです。爪とうねりはカトルスのが出て欲しいなとか、色はパッキリとした赤がいいなとか、勝手なこと言いながら生育を楽しみたいと思います。
No.23 チワワエンシス6号×チワワエンシス6号
一見、細長くヒョロヒョロとした種子にも見えるんですが、発芽数がとっても多い!なるほどよく見ると、他の種子よりも大粒で形が揃っている。色はそれほど濃くありませんが、黄色っぽい芯の部分が透けて見えているような種子です。
自家受粉ですが、元々の個体が綺麗なので間違いなく良い株が出る!あとは大きく育てられるかどうかが重要ですね。
No.27 チワワエンシス6号×沙羅姫牡丹
こちらもやや細長い種子ですが、やはりチワワエンシス6号は優秀なようで、大きさの揃った種子をつくってくれました。色は少し暗めで、アーモンドカラー。発芽数でいったら1番かもしれません!
逆交配はよく見るんですが、この交配式は意外と珍しいという印象があります。写真だと沙羅姫牡丹は少しくたびれていますが、沙羅姫本来の色が出てくれれば、美しい品種になることは間違いないでしょう。たくさん発芽してくれたので、いろいろな顔が見られるのも楽しみです。
No.28 コロラータ21号×ストリクティフローラノバ
殻だけのものから、ぷっくり太って黄色く見えるものまで様々なものが含まれていますね。たくさん発芽したのはこの黄色い種子でしょうか。秋になったらこの種子を仕分けして、検証してみたいです。
姿が大きく異なる2原種の交配ですから、個性的な株が出てきそうです。この交配式の苗もあまり見かけないので、是非大きく育ててみたいです。
出なかった種子
次に、出なかった種子の、写真を上げていきます。
No.5 チワワエンシス17号×ピンウィール
比較的粒もそろっていて、殻ばかりという感じでもないのですが、こちらは発芽しませんでした。気になるところがあるとすれば、非常に粒が小さいこと、ですかね。
No.6 リンゼアナ20号×リンゼアナ20号
リンゼアナの自家受粉ですが、うまくいきませんでした。とにかくたくさんの種子(のようなもの)が採れましたが、ご覧のようにほとんど潰れていて、しかも粒が小さい。こういう趣旨は発芽しないんですね。
No.7 チワワエンシス12号×リアルデカトルス1号
こちらもとにかく数は多いのですが、やっぱりほとんど殻。粒も小さいです。カトルス交配をたくさんつくりたかったので少し残念。
No.8 リンゼアナ20号×カマノイプエブラ
大量の、殻です。ここまでしっかりと殻をそろえてくるところ、逆にすごいです。リンゼアナ20号はうちに来て日が浅いので、まだ環境に適用しきっていない状況での交配でした。それであまり良い種子が採れなかったのかもしれません。来年頑張ってもらいましょう!
No.9 チワワエンシス16号×シャビアナペレグリナ
こちらも弱々しい種子です。粒はかなり小さく、数も少ない。そして潰れてしまっているものが多いですね。両親ともうちで交配に成功している株ですので、期待は大きかったんですが、残念です。
No.11 コロラータ15号×カマノイプエブラ
エケベリアの種子を「吹けば飛ぶような」と形容する人がいますが、これは吹かなくても飛んできますね。ほぼ全て殻で粒も小さい。。コロラータは、初期の花芽がダメになってしまうことが多いという情報を耳にしたことがあります。現在A-25に植えているコロラータ15号。親株にするにはもっと立派に育ててやらないとダメみたいですね。
No.12 コロラータ15号×ラウレンシス
ラウレンシスは過去に交配実績のある株で、良質な花粉を作ってくれます。ただ、今回使用したのは昨年採れたものなので。花粉も少しは劣化していたのかな?コロラータ15号の成熟度が低いこともあってなのか、非常に小さく淡い色の種子しか採れませんでした。もちろん発芽せず、、。
No.13 リンゼアナ20号×シャビアナペレグリナ
詰まっていそうなものと殻だけのものが半々くらいで、割と期待の持てる種子だったのですが、こちらも発芽しませんでした。
No.16 リンゼアナ20号×ピンウィール
粒というよりは。粉、、に近い小ささ。種子の真ん中が窪んで、いかにも殻と言う雰囲気。こちらも種子にはなり切れなかったようです。
No.17 (メキシカンジャイアント×ざわわ)×カマノイプエブラ
メキざわはTOMOZOOでも数少ない大株で、成長の勢いも良く、毎年複数本の花芽を出してくれる一株です。昨年まで控えていた交配、今年は満を辞して臨んだのですが、、、意外にもできた種子はおとなしめ。かなり粒が小さいです。それでも、色の濃淡や太さに多様性があり、もしかしたら当たりがあるかもしれないと思って撒いたのですが、ダメでしたね笑。
No.18 (メキシカンジャイアント×ざわわ)×チワワエンシス6号
チワワエンシス6号は、発芽した種子の交配親として何度か登場してましたよね。花粉親としての実績もあるので、この交配も期待値の高いものでしたが、やっぱりこちらもだめでした。ふっくらしている種子もあるんですけどね。残念。
No.19 コロラータ15号×ピンウィール
お!黒っぽい種子がある!もしや成功するかも!!
…だめでした。
No.20 カマノイプエブラ×チワワエンシス16号
先ほど”粉”と記載したNo.16リンゼアナ×ピンウィールよりもなお粉。これはもう、撒くだけ無駄な雰囲気です。そしてやっぱりだめでした。
No.21 カマノイプエブラ×シャビアナペレグリナ
一つ前のNo.20カマノイプエブラ×チワワエンシス16号よりかはいくらかましな雰囲気ですが、とにかく粒が小さいです。長さ約0.2〜0.3㎜くらい。
No.22 カマノイプエブラ×チワワエンシス6号
粒が小さいですねー。それなりに中身は入っていそうですが。毎年気合いを入れてたくさん花芽を出してくる株だけに、カマノイ交配が全滅だったのがすごく残念です。
No.24 ブラックザラゴーサ×チワワエンシス16号
遠くから撮影しているわけではなく、この大きさなんです。細長く、「く」の字に曲がった種子があちこちに。これも発芽はしませんでした。
No.25 ブラックザラゴーサ×チワワエンシス6号
小さく、種子の数も少ないです。中には種子ではない(なりきれていない?)ものがたくさん混じっている印象です。
No.26 アゴラ×アゴラ
アゴラの自家受粉でできた種子(というよりも放置していたら自家受粉してしまったものです)。長いこと放置していたので、受粉後に種子をつくる時間が十分にとれたはずです。そのためなのか、比較的大きい種子がいくつか入っているように見えます。しかし、こちらも発芽しませんでした。
まとめと今後
以上、2023年春実生の発芽状況をざっくりとみてきました。たくさん蒔きましたが、無事発芽したのはほんのわずか。それでも、発芽した種子としなかった種子の特徴がなんとなく見えてきました。検証も必要ですが、ひとまずまとめておきます。まずは写真を一覧にしたのでご覧ください。
出た種子一覧
出なかった種子一覧
今回種子の発芽記録をとってみて、わかってきたことが、次の2点です
•色の薄い種子でも発芽する場合がある/色が濃いものや黒いものでも発芽しない場合がある
薄い種子も、わずかながら発芽することが分かりました。黒色の種子であっても発芽しないものがあったりするので、色と発芽率はあまり関係がないのかもしれません。
※今回黒っぽい種子は発芽しなかったが、TOMOZOOの過去の実生では黒っぽい種子も発芽した。
•種子があまりにも小さいものは発芽率が低い。(長手で約0.5㎜を超えてくると、発芽可能性が出てくる)
小さい種子は発芽率が低い傾向にありました。ただし、小さな種子でも発芽してくるものもあるし、大粒でも発芽しないものもあるので、ここでは「発芽率が低い傾向があった」というにとどめておきたいと思います。交配をしてみて採れた種子が小さくてもあきらめるのはまだ早いということです!ちなみに、0.5㎜というのはかなりざっくりとした目安ですので、発芽が成功するか否かのラインではありません。
今後…
今回発芽した種子は、正確にはひとつの花から採れた”種子群”であって、特定の種子を指して呼んでいるものではありません。ある交配式の種子群の中に、色の濃いもの、薄いもの、黄色っぽいもの、黒っぽいものなどが混在していると、実際にはどの種子が発芽したのかわかりません。大きさの違いについても同じことが言えます。”種子群”をさらに細かく、特徴ごとにグループ分けして、発芽記録をとっていくと、発芽する種子の特徴をより具体的にとらえられるんじゃないかなと思います。今後の課題ですね。