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1時限目は、園芸に用いる基本的な用土について学んできました。
詳しくはこちら↓↓↓

今度はその基本の土に含まれる、あるいは投入される栄養について順序立てて学んでいきたいと思います。
この分野の学習はかなり長くなりそうです。
そしてTOMOZOO自身もむずかしくて理解しきれないところもあります。
ですから読者の皆さんと一緒に勉強しながら、実験しながら進めていきたいと思います。

1.そもそも植物に必要な栄養分って??

キーワード:「多量要素」「微量要素」

植物の生育にはいくつかの物質が関わっていることが分かっています。
植物は、自然界に存在する様々な化合物から、必要な物質を吸収して成長、増殖していきます。
現在分かっている植物の必須要素と呼ばれている物質は以下のようなものです。

前の9種類は、比較的多量に必要とする多量要素、後の8種類は多量に吸収すると毒性を帯びるが、植物の生育には必要な「微量要素」と呼ばれています。
なお、「その他」のケイ素はイネ科などの植物に対しては有用で、もともと必須元素に入れられていましたが、現在は除外されています。

多量要素の水素、炭素、酸素は、光合成によって得られる炭水化物の形で吸収していますので、土の中から吸収しているのは窒素以下の物質です。
中でも最も重要とされるのが、窒素、りん、加里の3種類です。
園芸用の肥料で、これら3種類の含有率を○-○-○の形で示したパッケージをしばしば目にしますよね。

植物の栄養となる物質を挙げたところで、次の項ではその物質がどんな働きをしているのか、また過剰、欠乏するとどうなってしまうのかをまとめていきたいと思います。

2.栄養のバランスが偏るとどうなるの?

キーワード:「働き」「過剰」「欠乏」

まずは、それぞれの物質が植物に吸収されてどんな働きをするか、また過剰に吸収するとどうなるか、欠乏するとどうなるか、土と直接関係のある物質(多量要素)について、ひとつひとつ見ていきましょう。

【窒素】

働き

窒素は、タンパク質のもとになるアミノ酸の構成成分の一つで、さらにはその生成およびエネルギーの生産に関与するクロロフィル(葉緑素)の構成成分の一つです。また遺伝情報の保存や伝達、発現や制御に関わる核酸の構成成分の一つでもあります。そして、酵素の活性化を促す補酵素の構成成分です。このように、植物の体を作り、調整する物質の構成成分になる窒素は、植物の必要とする栄養分のうち最も重要な物質と言われています。空気の80%を締めるという窒素ですが、実は植物が吸収できる形態の窒素は自然界にわずかな量しか存在しない無機態(アンモニア態や硝酸態)の窒素だけです。

一部、土壌微生物(根粒菌)と共生することによって大気中の窒素を吸収する性質をもつ植物(マメ科植物など)もありますが、それは今後土壌微生物について学ぶ機会に際に詳しく勉強していきたいと思います。

過剰

窒素過剰になると、葉色は濃緑色となり葉がぐんぐんと成長します。一方で繊維質が発達せず、植物体が軟弱になり、病害虫の被害を受けやすくなります。キャベツに窒素を多量に施用すると、食物繊維の含有量が低下するという情報もあります。

欠乏

窒素が欠乏すると、下位の葉から退色し黄化します。生育が鈍くなり、植物体は小さくなっていきます。また、葉色が部分的に欠けるクロロシス(クロロシスについては別途解説)が下位の葉から生じるという症状も現れます。

【りん】

働き

リンは、核酸中の塩基の接合に必要で、またエネルギー代謝や光合成の一連の反応の中で重要な役割をはたす物質です。植物は、土壌中に存する可給態のリン酸からリン酸イオンを吸収し、有機態リン酸を生成・活用します。
自然界では土壌微生物による有機物の分解によりリン酸が供給されますが、農業においてはリン鉱石から生成されたリン酸肥料も使用されています。

過剰

リン過剰による外観的な症状は現れにくいと言います。

欠乏

リン欠乏に陥ると、植物は生育不良となり、葉色が濃くなります。葉の生育が妨げられ、相対的にクロロフィル(葉緑素)の濃度が上昇するためです。
欠乏の原因としては、土壌によるリン酸の吸着が挙げられます。土壌中のリン酸は、アルミニウムや鉄との反応により難溶化します。難溶化したリン酸は、植物には吸収されず土壌に固定されてしまいます。このリン酸障害は、アルミニウムや鉄を多く含む火山灰土壌で多く発生し、また土壌が酸性化することでより強くなります。

【カリウム】

働き

カリウムは、植物の体内でイオンとして存在し、浸透圧の調整やpHの安定化に重要な役割を担っています。

過剰

カリウム過剰は症状としては現れにくいのですが、カリウムが過剰になると、拮抗作用としてカルシウムやマグネシウムの吸収を阻害します。結果としてこれら2種類の欠乏症状が現れます。

欠乏

カリウムは、欠乏すると下位の葉の縁から黄化し、縁枯れを示す場合があります。葉面にクロロシス斑点を生じる場合もあります。

【カルシウム】

働き

カルシウムは、細胞壁の構造と機能の維持に関わっています。大半のカルシウムは、細胞壁や細胞膜などのアポプラスト部分に存在していて、細胞質内にはごくわずかです。細胞質内では、セカンドメッセンジャーとして機能しています。

過剰

カルシウム過剰は、リンの不溶化、高浸透圧による水分吸収の阻害、拮抗作用によるマグネシウムやカリウムの吸収低下などが生じます。カルシウム過剰症の要因は主に人為的なもので、自然界では生じにくいと言われています。

欠乏

カルシウムが欠乏すると、細胞壁や組織の崩壊が発生します。トマトなどの果実の尻腐れ、白菜の芯腐れなどが欠乏症状として挙げられています。また、新芽が成長前に枯死する症状(チップバーン)や、新葉が縁から枯れて器状になる症状(エッチエス)もカルシウム欠乏によって発生すると言われています。土壌中にカルシウムが十分に存在していても窒素過多や高温乾燥によってその、吸収が阻害されることで生じます。症状は主に、内葉や果実、新葉部分に生じます。これは、カルシウムが蒸散の激しい外葉に集中し、また下葉の液胞に不溶化して固定され再転流しないためです。

【マグネシウム】

働き

マグネシウムは、クロロフィルの構成成分となる他、酵素の活性化、細胞壁pH調整、アニオン(陰イオン)のバランス維持に重要な役割を果たしています。ATP分解酵素の働きを助け、エネルギー生産に寄与しています。また、グルタミン(タンパク質を構成するアミノ酸の一つ)合成酵素の活性化や、タンパク質合成のためのリボーソームの立体構造維持に関与しています。

過剰

マグネシウムは、カリウムなど他の陽イオンとは異なり土への吸着略も弱いことから土壌溶液中に多く存在します。過剰症状は、外見には現れにくいとされていますが、マグネシウムの濃度障害によると考えれる草丈の伸長不良、根の発育低下なども確認さています。

欠乏

マグネシウムは、生体内を再転流しやすいため、欠乏状態に陥ると、下位の葉から、葉脈間の黄化や白化が生じます。

【硫黄】

働き

植物は、硫黄を硫酸イオンの形で吸収します。硫酸イオンは還元されて有機化合物に変化します。このうち含硫アミノ酸(システイン、メチニオンなど)はタンパク質や、細胞内の酸化還元状態を調整するグルタチオンの構成成分となります。

過剰
欠乏

硫黄が欠乏すると、タンパク質合成が阻害され、窒素欠乏時と同様にクロロシスを生じます。硫黄は植物体内でゆっくりと再転流するので、葉の黄化は成長点付近から始まり、次第に下位の葉に広がって行きます。

3.まとめ

少し長くなりましたが、植物の生長は、それぞれ役割を持った栄養素に支えられていて、それらの過剰・欠乏は植物の外観や成長具合に表れるということ、なんとなくお判りいただけましたでしょうか。

全てを把握するのはなかなか難しいですよね。
まずは、

  • 窒素
  • リン酸
  • カリウム

の3要素の、働きと、過剰・欠乏の症状をもう一度確認しておくとよいと思います。

過剰・欠乏症状を図で確認

2時限目で勉強をした各栄養素の「過剰」「欠乏」について、図にしてみました。
症状が現れてくる箇所を下葉・新葉・全体に分け、何が過剰・欠乏しているのかを記載しています。
植物に表れる症状にどんな原因があるのか、判別するのに役立てばと思います。

過剰・欠乏症状を表で確認

2時限目で勉強をした「過剰」・「欠乏」に伴う症状の詳細を下の表にまとめました。
こちらも参考にしながら、植物に表れる症状を確認してみましょう。

微量要素については詳しい解説をしていませんが、微量要素にもそれぞれ過剰・欠乏症状があるので表にして掲載しておきます。

文章や図を使って、各栄養分の過剰・不足の症状を確認しましたが、TOMOZOOもまだまだ経験が浅く、全ての症状を直接確認できたわけではありません。

今後、植物を育てていく中で、各栄養について分かったことがあれば報告していきたいと思います。

次回はこういった栄養素を、植物がどのように吸収していくのかについて勉強していきたいと思います。

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