こんにちは。TOMOZOO大学です。
突然ですが、園芸をするに当たって、土の乾きやすさというのはひとつのポイントになりますよね。でも実際に園芸資材の中で、どれがどのくらい乾きやすいのかを比較したデータはあまり多くないように思います。もちろん、こういうデータをつくろうとしても、ばらつきがあるでしょうから、一発の実験結果をもとにどうこうといえるものではないのですが。
それでも今回は、一応TOMOZOO的見解を示すために実験を行ってデータをつくってみようと思います。

これまでの土の実験レポートはこちら

目次

1.はじめに(言葉の説明)

 植物にとって、水はとても重要です。水がなければ植物は光合成をすることができず、体を大きくすることもできません。
 そして、その水を植物に供給するのが””です。
 良質な土は、注ぎ込んだ水を植物が利用しやすい状態で保持してくれます。こうした土の性質は、様々な言葉で表現されています。意味の重複する言葉もあり、混乱することが多いので、TOMOZOOでは「水はけ」「水持ち」「含水量」という言葉に絞って土の性質を表現することにします。まずはそれぞれの言葉の説明から。

水はけ

注ぎ込まれた水分のうち、土に吸着されたもの以外の余剰な分を排出する性質。水はけが悪い土は、粒子の隙間に吸着しきらなかった水分が残り、根の呼吸を妨げたり根腐れを引き起こしてしまいます。粒径の小さい用土や粒が崩壊して泥状になってしまった用土は水はけが悪くなりがちですので注意が必要です。

水持ち

吸着した水分を、保持する性質です。水持ちが良い土は、長い時間水分を保持してくれるので、湿潤な環境を好む植物に適しています。一方で、乾燥状態を好む多肉植物などでは、より水持ちの悪い(乾燥しやすい)土を用いるのが一般的です。

含水量

注いだ水の内、土が吸着する部分の量。注水量から排水量を差し引いた分を言います。含水量が多いほど、利用できる水の量が多いというのが一般的です。水分をはじいてしまうような土では、含水量が少なく、乾燥も早くなります。十分な含水量を確保できないと、乾燥で植物が枯れてしまうことにもつながりますのでこちらも注意が必要です。

2.実験の方法

測定対象

今回の実験では、以下の用土を測定対象としました。

  • 赤玉土(微粒)
  • 赤玉土(小粒)
  • 鹿沼土(微粒)
  • 鹿沼土(小粒)
  • 鹿沼土(大粒)
  • 日向土(微粒)
  • 日向土(小粒)
  • もみがらくん炭
  • ピートモス
  • 黒曜石パーライト
  • 腐葉土
  • 水苔
  • バーミキュライト
  • ゼオライト
  • TOMOZOOの土①
  • TOMOZOOの土②
  • TOMOZOOの土③
  • TOMOZOOの土④
  • TOMOZOOの土⑤

ちなみに…TOMOZOOの土①~⑤というのは、TOMOZOOオリジナルの用土です。その基本となるのが、TOMOZOOの土①で、赤玉土(細粒)、鹿沼土(細粒)、ひゅうが土、バーミキュライト、もみがらくん炭、ゼオライトを下の割合で配合したものです(使ってみた感じかなり乾きやすい)。

 さらにその発展形であるTOMOZOOの土②~⑤は、TOMOZOOの土①にそれぞれ腐葉土とバーク堆肥を割合を変えて配合したものです。

各用土の詳しい説明は「土について学ぼう」をご覧ください。

浸水・測定方法

 まずはそれぞれの資材を一定体積(40ml)測り取り、水に浸して十分に水を浸透させます。そしてたっぷりと水を含んだ用土を引き上げてつるし、乾燥させます。その途中の含水量〔g〕を測定して、土の水持ち(乾きやすさ)を記録します。

 用土から水が蒸発していくとその分用土が軽くなっていくはずです。

記録の仕方

 用土を吊るしてから、2時間おきに重量を測り記録します。各サンプルで予め水分を含まない乾燥状態の重量を測定しておき、測定値から乾燥状態の重量を差し引いた重量を、水分の重量(含水量)とみなします。

 今回は、精度を上げるためにサンプルは各用土2つずつつくります。結果はこれらの平均値を算出して記録します。
 今回使用する計量器は、小数点以下2桁までを測定することができますので、0.01以下の変化が3回続いたサンプルは乾燥した状態(水分がこれ以上蒸発しない状態)として測定を終了します。

3.実験経過

ではさっそく実験をはじめていきましょう。
まずは40ml相当の土を準備しました!

これらの土をそれぞれ排水口ネットに投入して口を縛ります。

これらを水にドボンとつけて(約1時間)。

水から取り出して水が切れるまでしばらく放置。

しばらくしてから、土を洗濯ばさみで吊るしていきます。

2時間ごとに取り外して重さを記録していきます。

サンプルの重さは水が蒸発することで減っていくので、その減り方から用土の乾きやすさを判定していきます。

4.実験結果

 それでは、結果を見ていきましょう!!
 なお結果は、測定開始時点をゼロとしたときの用土の増加量(この場合は減少なのでマイナスになる)を示しています。折れ線の上下の変動が大きいほど含水量が大きく、左右の長さが長いほど水持ちが良いということになります
 ※一時的に測定を休止したところがあるのでその部分の記録は抜けています。すみません。。

用土の比較

 すべての用土で含水量を比較すると、

 赤玉土 > 鹿沼土 > 日向土

 といった感じでしょうか。
 やはり赤玉土は水含みが良いということが分かります。粒子が小さいほど保水量は多いようで、その影響はかなり大きく現れています。同じ軽石でも、鹿沼土とひゅうが土だと含水量が異なるんですね。

土壌改良材の比較

 まずはよく見かける土壌改良材4種類の比較です。
 バーミキュライトと腐葉土はほとんど同じ曲線を描いています。

  • 無菌の資材で保水性を高めたい場合はバーミキュライト
  • 微生物による土壌の改善をしたい場合は有機物を含んだ腐葉土

といった具合に使い分けることができますね。
もみがらくん炭やピートモスは、より保水性の高い資材であることがわかります。

  • 土壌の保水性を向上しつつ、酸性を改善したい場合はもみがらくん炭
  • アルカリ性を改善したい場合はピートモス

といった使い分けができるのではないでしょうか。

さらに他の土壌改良材も見てみましょう。

こちらは比較的使用頻度の低い(とおもわれる)土壌改良材4種類です。
バーク堆肥や水苔は含水量が同程度です。
曲線の長さで見ると、バーク堆肥が最も長く、水持ちが良いということがわかります。
パーライトは、水はけの向上のために用いられる資材ですから、保水量が少ないという特徴がよく表れています。
土中の水質改善などを目的として使われるゼオライトは比較的水持ちの良い資材と言えます。水はけのよい土を好む植物の用土に大量投入するのは要注意ですね。

最後にすべての土壌改良材を比較してみましょう。

こうして全体を見回すと、それぞれの特徴がよくわかります。

  • 保水量の低いパーライト
  • 保水量が中間くらいのゼオライト、腐葉土、バーミキュライト
  • 保水量が高いピートモス、もみがらくん炭、バーク堆肥、水苔

の3つくらいのグループに分けられそうです。

保水量が同程度でも、くん炭やピートモスに比べてバーク堆肥と水苔は乾燥するスピードが速いというのもわかります。

TOMOZOOの土比較

最後に、TOMOZOOがオリジナルでつくっている用土の比較をしたいと思います。
基本となるTOMOZOOの土は一番下の黄色いラインです。
バーク堆肥や腐葉土を配合すると、水はけが向上して保水量が下がるのがわかります。
TOMOZOOの土には微粒の赤玉土や微粒の鹿沼土といった、保水量の大きい用土が含まれていますから、一部を比較的水はけのよい資材に置き換えると、その効果が出てくるようです。

TOMOZOOの土②と③は腐葉土を配合していますが、3割配合のTOMOZOOの土②と5割配合のTOMOZOOの土③の保水量にはほとんど違いが見られません。
腐葉土の効果には限界があるのかもしれません。

一方、バーク堆肥を配合したTOMOZOOの土④と⑤では、3割配合のTOMOZOOの土④に比べ5割配合のTOMOZOOの土⑤の方が保水量が少なく、水はけが良いということがわかります。
バーク堆肥は投入量を増やすとその分水はけが良好になるようです。

まとめ

 以上、園芸に使用する用土の保水量を比較しました。
 全体の様子を具体的な数値で見ると、比較がしやすくなりますね。
 普段何気なく投入している用土ですが、保水性が良くなると思っていた資材は水はけを向上させていたり、保水量や水持ちが同じ程度で代替ができそうなものがあったりしました。
 TOMOZOOでは、今回の実験の結果を少し意識しながら今後も土づくりをしていきたいと思います。

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