植物の時間 1時限目『土について学ぼう!』

突然ですが、
先日また、大切な苗をひとつだめにしてしまいました。

スバルピナペロテ(Subalpina perote)2020.1.13

水のやりすぎによる根腐れだと思いますが、同じように水をやっても他の苗は無事だったりします。
他にも解決すべき課題があるんじゃないでしょうか?

根に直接触れるのは土。

そういえば、土を適当に配合したり、ありものでマルチングをしたりしていたっけな~。

ということで、今回は土についてきちんと整理しておこうと思います!!

土ってなんだろう??

お店で売っている土は、製品によってさまざまな配合がされていますよね。
製品ですから、その土の中には栄養分も入っていて、ある程度水持ちが良く、水捌けの良い土ならば植物は育ちます。

TOMOZOOは、はじめはこんなふうに考えていました・・・

でもちょっと待って!

よく見ていくと、土には培養土とか、赤玉土とか、あとカタカナで表記されたナントカライト、ナントカモス、それからそれから、なんとか石、、、と、

それぞれ名前があることが分かります。

名前があるということは、そこら辺の公園にもあるような”土”とは違って、それぞれに特徴があって役割があるってこと。

そこでTOMOZOOは、土についての勉強を始めることにしました。

まずは売られている土を、一つ一つ見ていきましよう!

目次

赤玉土

 赤玉土は関東ローム層に見られる赤土由来の用土です。赤土を一定の大きさの粒子にふるい分けたものが赤玉土です。赤玉土は栄養分をほとんど含まず、病気の原因となる細菌も含んでいないため、清潔で安全な用土として利用することができます。粘土を含有しているため他の用土と比べ肥料分を吸着、保持する保肥性に優れ、園芸用土として最もよく見かける基本用土といえます。

 多くのメーカーから販売されており、粒の大きさも細粒から大粒までそろえられています。赤玉土は粒子を維持できなくなるとつぶれて通気性や排水性が悪化するので、定期的な交換が必要と言われますが、中には「硬質」と言われる製品や、焼成のものなど、粒状を維持する能力の高いものも販売されています。

 他に特記すべきは、メーカーによってふるい分けの大きさやその許容範囲の違いが見られることではないかと思います。同じ「小粒」でもメーカーによって大きいものがあったり、かなり広い範囲を「小粒」と称していたり、また「小粒」の下に「微粒」や「細粒」などの規格を設けているメーカーもあります。赤玉土を購入する際は実際に店頭で手に取ってみてから購入することをお勧めします。

赤玉土(微粒)の粒径
赤玉土(小粒)の粒径

~TOMOZOO大学 実験レポートによる赤玉土データ~

●密度

微粒・・・746 g/l
小粒・・・692 g/l

●pH

6.0~7.0(弱酸性~中性)

軽石

 一口に軽石と言っても色々なものがあります。よく使用されるのは鹿沼土、ひゅうが土の2種類です。あとは単に 「軽石」として販売されているものもあります。他に、十和田砂、蝦夷砂なども軽石の一つです。主に産出した地域の名前がつけられています。 軽石の特徴はその通気性と排水性です。植物にとって水は大切です。でも吸収しにくい水が多く残っていても、根の呼吸を阻害し根腐れの元になるだけです。軽石は、鉢底に敷いたり、用土に混ぜたりすることで余分な水分を排出して空気を通し、用土が植物にとって適度な水分を保持することを可能にしています。また、無菌で植物への影響も少ないということから、マルチング(化粧石)として使用する例も見られます。

 ここでは、よく使用されている鹿沼土・ひゅうが土の2種類について詳しくご紹介します。

軽石(鹿沼土)

 赤玉土と同じくらいによく見かける栃木県鹿沼市産の用土です。土とはいってもこちらは軽石で粘土ではありません。保肥性はほとんどありませんが、多孔質のため通気性・排水性・保水性に優れ、また軽量で扱いやすいという特徴があります。

 赤玉同様に粒の大きさにもいくつかの種類があり、細粒や小粒のものを上層の用土に混ぜ込み、大粒のものを鉢底に敷いて使用するなどの使い分けも可能です。粒の大きさが不ぞろいの状態で販売されているものもあり、これは赤玉土よりも顕著であると思います。こうした鹿沼土は、大きめの袋で購入してふるい分けすることで大小さまざまな大きさのものが少量ずつ手に入ります。赤玉同様、粒のそろい方などを実際に見て確認してから購入するのが良いと思います。ふるい分けの際は、微塵が空気中に飛散し目や喉を傷める可能性があるので、マスクやゴーグルを着用するとよいです。

 鹿沼土のpHは、弱酸性といわれていますが他の用土と混ぜて使用する場合それほど大きな影響はないという印象があります。むしろ、病原菌を含まず安全に使用することが可能なため、鹿沼土単体で使用している例を動画サイトなどで見かけることがあります。乾燥時は淡黄色で水分を吸収すると色が濃くなります。この特徴を利用して土の乾燥状態を確認し、水やりのタイミングを知ることができます。

鹿沼土(微粒)の粒径
鹿沼土(小粒)の粒径
鹿沼土(大粒)の粒径

~TOMOZOO大学 実験レポートによる鹿沼土データ~

●密度

微粒・・・635 g/l
小粒・・・351 g/l
大粒・・・295 g/l

●pH

6.0~7.0(弱酸性~中性)

軽石(ひゅうが土)

 ひゅうが土は、鹿沼土と並んでよく目にする軽石のひとつですが、外見は鹿沼土よりもやや暗い感じがします。鹿沼土同様に排水性・通気性が良好な資材で、粒径もたくさんの種類が販売されていますので、用土に混ぜ込んだり鉢底に敷いたりと用途もさまざまです。TOMOZOOでは、粒径の小さいひゅうが土を多肉植物の化粧石として利用しています。

 軽石全般に同じことが言えそうですが、鹿沼土同様に取り扱いの際の粉塵対策をおすすめします。
 鹿沼土と比べるとやや重たく、微粒のものでも吹き飛びにくい印象があり、マルチング材としては鹿沼土よりも優れているのではないかと思っています。

 一方で、鹿沼土のように濡れたとき乾いた時の外見の違いを認識するには少し慣れが必要ですので、土の乾燥具合の指標としての利用には鹿沼土の方がよいかもしれません。

ひゅうが土(微粒)の粒径
ひゅうが土(小粒)の粒径

~TOMOZOO大学 実験レポートによるひゅうが土データ~

●密度

微粒・・・531 g/l
小粒・・・466 g/l

●pH

6.5~7.0(中性)

バーミキュライト

 バーミキュライトは、鉱物由来の非常に軽い土壌改良材です。赤玉土などと同じで、それ自身、肥料分は含んでいませんが、桁違いの保肥力を持っており、園芸にもしばしば用いられています。原石となる蛭石を加熱・膨張させて生成されるため、細菌を含まない清潔な資材で、なおかつ多孔質で保水性、排水性、通気性に優れています。単体での使用は珍しいですが、その安全性から播種用土として用いられている事例もあります。

 バーミキュライト使用時の唯一の注意点といえば、その軽さゆえに簡単に吹き飛ばされてしまうということです。バーミキュライトを含んだ用土の配合やその用土を用いて育成している植物への霧吹き、水やり、ブロアーなどは慎重に行うとともに、飛散防止のためマルチング材料を併用することをおすすめします。

バーミキュライトの粒径

~TOMOZOO大学 実験レポートによるバーミキュライトデータ~

●密度

173 g/l

●pH

6.5~7.0(中性)

ピートモス

 ピートモスは、コケやシダなどの死骸が未分解のまま堆積した泥炭を加工したものです。軽量でフカフカと柔らかく、保水性が高いのが特徴です。一方で保肥性は小さく、どちらかというと土の物理性を良くするために用いられる土壌改良剤です。

 ピートモスのその他の特徴としては、pH3程度の強い酸性であるということが挙げられます。この性質を土のpH調整に用いることもあるようですが、逆に酸性化が過剰に進んでしまうことがあるため注意が必要です。ピートモスを配合して用土全体が過剰に酸性に傾くと、酸性化による障害が発生する可能性があります。ピートモスは酸性の苦手な植物には使用しない方が良く、用土に配合する際にはもみ殻燻炭や石灰などを配合して中和するという方法もあります。またpH調整済みのピートモスもあるようですので、そうした製品を利用するのもひとつの手です。

 TOMOZOOのシダ植物は、その保水性が効果的面らしく、元気に育ってくれていますので、 植物の種類によっては問題なく用土に混ぜ込んで使うことができると考えています。

ピートモスの繊維長さ

~TOMOZOO大学 実験レポートによるピートモスデータ~

●密度

176 g/l

●pH

5.0~6.5(酸性~弱酸性)

ゼオライト

 ゼオライトは、沸石という鉱物です。ゼオライト(沸石)を含む凝灰岩は、 保肥性に富み、土に混ぜると重金属を取り除く浄化作用があります。土壌改良剤として園芸でもしばしば用いられる他、水質改善のために水耕栽培やテラリウムなどでも使用されています。

 リン酸の吸収係数が低いため、その施用効果を高めるために用いるのも有効とされています(粘土鉱物由来の用土ではリン酸が速やかに吸着固定されてしまう)。ゼオライトは密度が高く、粒が硬いので潰れることなく、それ自体が通気性や排水性悪化の原因となることはありません。

ゼオライトの粒径

~TOMOZOO大学 実験レポートによるゼオライトデータ~

●密度

713 g/l

●pH

6.0~7.0(弱酸性~中性)

もみ殻くん炭

 もみ殻を燻して炭化させたものです。非常に軽く、ふかふかとしているため保水性、通気性、排水性が高く、また保肥性も高いというのが特徴です。pHが8〜10のアルカリ性であるため、この性質を利用して酸性に傾いた土を中和することもできるようです。また表面積が大きいため、好気性微生物の棲み家としての役割も果たしてくれます。植物にとって病原菌となる糸状菌を抑えるバシラス菌も、このもみ殻燻炭によって増殖すると言われています。

もみがらくん炭の繊維長さ

~TOMOZOO大学 実験レポートによるもみがらくん炭データ~

●密度

184 g/l

●pH

8.0~9.0(アルカリ性)

パーライト

黒曜石パーライト

 パーライトは、非常に軽量な土壌改良材のひとつです。黒曜石パーライトと真珠岩パーライトの2種類があり、どちらも火山岩を加熱膨張させたものですので、配合すると用土の軽量化に効果を発揮します。一方で保水性・排水性については別々の特徴を持っています。真珠岩パーライトは焼成時に内部の空気が蒸発して岩石の壁を破壊するため、表面が多孔質になり保水性が高くなります。一方で黒曜石パーライトは、焼成時に内部の空気が膨張しても壁を破壊するには至らないため、芯に空洞のある丸い形状となり排水性や通気性を良くすることに向いています。いずれもpHは中性から弱アルカリ性ですので、配合した場合の用土に対する影響は小さいと思われます。TOMOZOOではまだ使用例がないので、今後試してみたい資材の一つです。

黒曜石パーライトの粒径

~TOMOZOO大学 実験レポートによるパーライトデータ~

●密度

74 g/l

●pH

6.5~7.0(アルカリ性)※

※TOMOZOO大学の実験で出されたpH6.5~7.0という数値は、土壌においては弱酸性~中性を示すします。しかし通常パーライトはpH7.5~8.0などの”アルカリ性”とされており、ここではそうした一般的な見解を考慮して、アルカリ性としています。

腐葉土

 腐葉土は広葉樹の落ち葉を発酵腐熟させたのです。肥料分はほとんど含んでいませんが、フカフカとしてよく空気を含み、保水性・排水性・保肥力に富んでいます。土の物理性・化学性を改善してくれる土壌改良材ですが、病害虫を含む可能性があるため、消毒を行う必要があります。 といっても、新しいものを使用する分には病害虫などのリスクは比較的少ないと考えられます。 100円ショップなどでも容易に入手することのできる比較的身近な存在の資材です。

腐葉土の繊維長さ

~TOMOZOO大学 実験レポートによる腐葉土データ~

●密度

239 g/l(開封直後の湿り状態)

●pH

6.5~7.0(弱酸性~中性)

水苔

 粘土や岩石ではなく、蘚苔類の一種であるミズゴケを園芸用に乾燥させ、製品化したものです。保水性・排水性・保肥力に富み安全性も高いとされています。百円ショップなどでも購入可能ですが、良質なものは淡黄色から淡黄緑色をしているということなので購入の際には実際に製品を見て確認するのが良いと思います。

 水苔は高湿で通気性の良い環境を好む植物の育成に適しているのでTOMOZOOでもアグラオネマやシダ系の植物では土の上を覆うようにして使用しています。また多肉植物の葉挿しの際にも試験的に使用していますが、調子のよいものでは根がよく発達し、親葉のもちもよくなる印象があります。多くの水を吸着・保持することができる水苔ですが、その効果を発揮させるためには時間をかけてしっかりと水分を含ませておくことが大切です。

水苔の繊維長さ

~TOMOZOO大学 実験レポートによる水苔データ~

●密度

25 g/l(乾燥状態)

●pH

5.5~6.5(弱酸性)

まとめ

上記の土の特徴をまとめると

このようになります。

TOMOZOOでは、

赤玉 → 保水性・保肥性
鹿沼土・ひゅうが土 → 排水性・通気性・保水性
バーミキュライト → 保肥性・保水性・通気性
ゼオライト → 保肥性・水質浄化・リン酸の難溶化抑制
もみ殻くん炭 → 病原菌抑制・保水性・通気性・酸性の中和

という役割を期待して基本用土(TOMOZOOの土)を配合しています。

※TOMOZOOの土

次回、2時限目は、
「植物の栄養を学ぼう!」ということで、この基本用土に加える栄養分について学んでいきたいと思います。

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