サラゴサspノバ

和名英名
ベンケイソウ科Crassulaceae
エケベリア属Echeveria
サラゴサspノバsp. nov, Zaragoza

サラゴサspノバのデータベース

 細長く内向きにカールした爪、そして群生。かなり特徴的な品種です。この形を受け継いだ(と思われる)交配種、たくさんありますよね。とても生長の遅い品種で、異常に小ぶりなので成長しきっているのかどうかよくわかりません。花芽が出るまでを生長の一区切りとするならば、一度花芽が出かけたTOMOZOO株は生長に区切りがついているのかもしれませんが、それでも直径5センチに満たないちいさなちいさな品種。こんな、繊細に見えるサラゴサspノバですが、見かけによらず生命力は強い。群生しして増えやすく、また極端な季節でもそれなりに耐性はあるようなので安心して育てることができます。ただ小さいですが。。
<品種名について>
 サラゴサspノバ。謎めいた名前ですね。実は「sp.nov.」は「未命名の新種」という旨の表記であって種名ではありません。塊根植物のぺラルゴニウムやステファニアにも「sp.nov.」がありますし、植物に限らずその他あらゆる生物で、未確定な新種は「sp.nov.」と表記されています。ちなみに、「,」の後にくる’Zaragoza’は産地名ですので、名前全体を読み解くと

E.(エケベリア)sp.nov.(未確定な品種),Zaragoza(サラゴサ地方で見つかった) ということになります。

本来、sp.nov.は未確定の状態で中途半端な種名が広がったり他品種と混同したりしないようにする意図で付けられているものだと思うのですが「サラゴサspノバ」はおそらくそのまま広がって流通名になっちゃったわけですね。さらにこの品種、広がった先で様々な表記がされているようで「ザラゴーサspノバ」とか「spノバ」とか、中には「ノバ」とだけ書かれているものもあります。「未命名ということを説明しようとしただけなのに名前になっちゃった!」というカンガルー現象です。「sp. Real de catorce」とかもあるので実に紛らわしいですね。TOMOZOOでは一応「サラゴサspノバ」と表記しますが、もしも今後品種名が確定したら、書き換えないといけないですね。

フォルム

タイプ
つるっと系
粉系
ハード系
ソフト系
グリーン系
ブルー・ホワイト系
レッド系
紅葉
控えめ
しっかり

育成ポイント

成長速度
おそい
はやい
徒長
しにくい
しやすい
暑さに、、、
弱い
強い
寒さに、、、
弱い
強い
花芽は、、、
出やすい
出にくい

増やしやすさ

葉挿し
難しい
簡単
胴切り
難しい
簡単
仔吹き
しやすい
しにくい

※「仔株」の項目は、胴切りや頂芽潰しをしない状態(自然状態)での仔株の出やすさを表しています。

TOMOZOOサラゴサspノバの育成記録

購入したてのサラゴサspノバ。
手の大きさと比べるとすごく小さいです。(TOMOZOOは手がでかいのですが、それにしたって小さい!)
爪が内向きで非常に造形の細かい品種ですね。
すでに子株が出ていてラッキーといった感じ。
エケベリアを始めて間もない当時としてはびっくりする金額で、ショップではずっと売れ残っていた品種なんです。(2023年現在はこんなもの出したら一瞬で売り切れてしまう)

2019.12.17

せっかく、子株がそれなりの大きさに生長していたので、株分けしてこちらは大きい方。
冬の寒さに萎えることもなく、初心者の管理でも危なげなく冬越ししてくれそうですね。

2019.12.29

でも、少し水を切りすぎたのか、素焼き鉢に植え替えたのが悪かったのか、あっというまに小さくなってしまいました。
小さい品種は、水切れで小さくなると余計に小さく、そのまま消えてしまうんじゃないかという感覚になります。

2020.3.25

ちなみに、株分けしたもう一方はスリット鉢に植え付けて、いくらか水持ちがよかったのか、枯れ葉少なめです。

2020.3.25

4月の段階で両者を比較するとこのような感じ。違いが歴然。

2020.4.4

それでも春には不思議な力があって、ちゃんと盛り返してくるんです。しかも子株もつれてきてくれました。
こんなに小さいのに子株なんか出して大丈夫か??

2020.6.2

夏になり、他のエケベリアが緑や白になっていく中でも、それほど大きな色の変化がないのがこの品種。
暑くても葉っぱはしっかりしていて安心です。

2020.7.24

夏の間も子株はすくすくと生長していたようで、ずいぶん立派になってきました。

2020.9.24
2020.11.29

色の変化が小さいとはいっても、やっぱり紅葉シーズンには爪の色が濃くなってきます。長く、内向きにカールした爪は独特で、拡大すればド迫力。成長期には爪が立ち上がってきますね。

2020.12.8

で、順調だったのに、子株欲しさに植え替えを決行してしまったもんだから外葉が枯れてボリュームが小さくなってしまいました。外葉シワシワ。

2021.7.8

そしてほぼ元の大きさに。これを繰り返して結局大きくしてあげられないんですね。

2021.9.14

夏場には白くなっていた爪、冬になると濃い色に変わってきます。
ここまでで約2年。独特のフォルムは健在ですが、大きさはほとんど変わりませんね。

2021.12.17

そして2回目の春に向け、いよいよ花芽らしきものが!
しかもすでに保険株は取っているからこの花は咲かせてもいい!!
もしかしたら誰もが一度はつくってみたサラゴサspノバ交配ができるかもしれない!!と期待を膨らませて、この花芽を応援することにしました。

2021.12.26

花芽が伸びてくるのを今か今かと待ち続け、来る日も来る日も覗き込んで、、、

2022.1.28

花芽は知らないうちに消えていました。咲かないことってあるんですよね。何が気に食わなかったのか。。
そしてもう夏の姿。
植え替えをしているので鉢が変わっています。
いつ植え替えたのか具体的に日付は思い出せませんが、花芽が萎えてしまったのはそのせいかもしれません。

2022.7.9

そして夏の白い爪。
この辺まで来るとルーティーンですね。
あ!あの時の花芽がミイラになっている。写真のど真ん中に。。しかもまだこの位置に。
一体どれだけ生長遅いんだ。

2022.8.12

今回も危なげなく夏越しを達成したサラゴサspノバ。
花芽に関しては気難しいようですが、育成は比較的簡単。
次は絶対植え替えしないから、花芽出してね。

2022.9.14

そして爪がまた色づいて。
毎年毎年全く同じ姿になるサラゴサspノバ。安定しすぎて逆に怖い。

2022.11.5

冬は何度か屋内に入れて過ごしました。
それも寒波の来る日や雪の日など、特に寒い日だけで大丈夫。弱弱しく見えても意外と頑丈。
爪は紅葉が最高潮に達すると黒くなります。

2023.2.1

そして春。
真冬の黒爪が少し柔らいで、再び赤爪のサラゴサspノバ。
植え替えてないからね、花芽出していいからね。

2023.3.23

日がよく当たる場所だと、造形の細かさが際立ちます。
今年はどうやら花芽出ないようです。
隔年なのか2、3年おきなのか、出るときと出ない時があるみたいです。長く育てて機会を待ちたい。
その間にどんどん増えてサラゴサspノバだらけになりそう。
というくらい、子株だけはよく出るサラゴサspノバでした。

2023.4.1
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