1.はじめに
こんにちは、TOMOZOOです!
みなさん、園芸にはどんな鉢を使っていますか?
おしゃれな素焼き鉢?
利便性を考慮したスリット鉢?
コストパフォーマンスが最高のビニールポットでしょうか?
鉢には様々な種類があります。
では、植物にとってはどんな鉢を選んであげるのが良いのでしょうか?
鉢を選ぶ判断材料の一つになるのが「鉢の乾きやすさ」です。
今回は植木鉢ごとの鉢の乾き具合をより具体的に測定してみようと思います。
これまでの土の実験レポートはこちら↓↓↓
2.実験の準備
今回準備した鉢は、
- スリット鉢
- 素焼き鉢
です。
どちらも良く利用されている鉢ですね。
ここに、水で濡らした用土を投入し、一定時間ごとに測定をしていきます。
今回は投入した土の質量のみを測定していくため、用土をネットに入れた上で、それぞれ鉢の中に入れていくことにしました。
鉢が用土の乾燥に与える影響を確認するために、「鉢に入れずにネットに投入した用土」も準備しました。
これらを水につけて一定時間ごとに測定していきます
ここで使用する用土は、TOMOZOOの土①~⑤までの5種類です。
TOMOZOOの土の中身については、実験レポートVol.3を参照ください。
3.実験の経過
まずは鉢を準備します。
今回はこちらの鉢を使用します。
6cmスリット鉢(左)と2号素焼き鉢(右)
素焼き鉢は水の吸収力が強く、乾燥状態のまま使用すると濡らした用土の水分を一気に吸い取ってしまう可能性があるので、あらかじめ水に浸して濡らしておきます。
次に土の準備をします。
ネットに用土を投入していきます。
はじめに鉢にネットを敷いて、そこに用土を投入します。
ネットの口を縛ってサンプルの完成!!
完成したサンプルを水につけていきます。
しばらく水に浸して十分浸水したら自ら引き上げて水を切ります
それぞれ、準備しておいた鉢の中に投入して、いよいよ測定開始!
2時間ごとに測定をしていきます。
計測開始時の数値を0として、そこから増加した分(この場合は減少なのでマイナスになります)を記録していきます。
4.実験の結果
さて、それでは結果を見ていきましょう
TOMOZOOの土①
まずはTOMOZOOの土①です。
一番上の橙色の線がスリット鉢です。
スリット鉢に投入した用土は、水分の蒸発速度が最も穏やかで、なおかつ最終的な水分量が最も多くなっています。
スリット鉢は比較的水持ちがよいといえます。
この結果は、ネットのみを用いたサンプルの結果(黄色い線)と比較するとよくわかりますね。
スリット鉢やネットのみのサンプルは、水分蒸発の速度がほとんど一定であったのに対し、途中から蒸発スピードが変化するのが素焼き鉢です。
素焼き鉢は、水分量がある一定の量に達すると蒸発速度が穏やかになり、一時的にスリット鉢よりも緩やかな傾斜となります。
最終的な水分量は、スリット鉢と比較してもそれほど低くはなく、一定程度の保水性は確保できているのではないかと思います。
TOMOZOOの土②~⑤
つづいてTOMOZOOの土②~⑤です。
結果に大きな差がなかったため、一気に掲載していきます。
すべての用土で以下のような結果が出ました。
- スリット鉢サンプルの水分量が最も穏やかに減少する
- 素焼き鉢サンプルは途中で水分量減少の速度が変化する
素焼き鉢サンプルの曲線には2つのパターンがあるので、少し詳しく見ていきます。
大きく分けると2つのパターンがあげられます
パターンA
素焼き鉢サンプルの水分残量が、測定終了時間までに鉢なしサンプル(ネットのみ)の水分残量を上回るパターン
パターンB
素焼き鉢サンプルの水分残量が、測定終了時点で鉢なしサンプル(ネットのみ)の水分残量を下回っているか、ようやく追いつく程度となるパターン
パターンAとなったのは、TOMOZOOの土①、TOMOZOOの土②、TOMOZOOの土④の3種類
パターンBとなったのは、TOMOZOOの土③、TOMOZOOの土⑤の2種類です。
TOMOZOOの土③と⑤は、土壌改良材(腐葉土、バーク堆肥)の含有量を多くしている用土ですので、この土壌改良材の配合量が影響していると考えられます。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
やや複雑な結果となってしまいましたが、ポイントとしては、
- スリット鉢は比較的水持ちがよく蒸発速度も安定している。
- 素焼き鉢は一定程度まで水分量が急降下し、その後安定してくる。
- 水はけ向上を目的とした土壌改良材は、配合量を多くすると効果が大きくなる。
の3点といったところでしょうか。
スリット鉢は安定した水分蒸発を期待できる鉢であるということがわかりました。
一方素焼き鉢も、水分を鉢内にとどまらせたくない場合などは有効に利用することができそうです。
また想像していたよりも安定した速度で水分が蒸発していくということがわかりました。
以上で実験の報告を終わります。